レンタル彼氏–恋策–
「心晴、どうして話してくれなかったんだろ……」
「俺がそう頼んだからだよ。三枝さんを通して一大学生としてひなたを紹介してもらうこともできたけど、それだと三枝さんに気を遣ってひなたは俺への評価甘くすると思った。だからあえてバイト中にレンタル彼氏としてひなたに会いたかった。『親友の知り合い』っていう先入観なしのまっさらな目で俺を見てほしかったから」
ひなたに振り向いてもらえる立派な男になりたくてレンタル彼氏のバイトをすることにした。ーーそう前置きし、凜翔は話した。
彼がレンタル彼氏の仕事を始めて最初に担当したお客さんが心晴のお母さんだった。仕事で疲れてる母親に日常を忘れて元気になってほしいという願いを込めて、心晴は母親に凜翔とのデートをプレゼントしたそうだ。
心晴のお母さんとのデートが終わる頃、母親の様子を見に来た心晴と出くわし、凜翔は衝撃を受けた。
「三枝さんって、ひなたと一緒に昭の部屋に来ることあったでしょ?昭からも聞いてた。三枝さんはひなたと一番仲がいい女友達だって」
そのことを瞬間で思い出した凜翔は、心晴の顔を見るなりある事を頼み込んだ。もちろん、自分の素性を明かして。
「お願いします!ひなたさんとのデートを取り次いで下さい。もちろんレンタル料金は俺が払いますから…!昭の弟だということは伏せて、お願いします!」