レンタル彼氏–恋策–

 ーーううん。本当はもう、答えは出てる。

 凜翔とのデートで思い出してしまったんだ。昭の横で幸せを感じていたあの瞬間を。『恋愛ってこうだよね』ってことをーー。

 優は、私の復讐心を満たすためにいるわけじゃない。実際、私が優と付き合っても、昭は平気そうだった。それはそうだよね。昭にはすでに好きな人がいるんだから……。

 私は、ひとりみじめな思いをしたくなかった。昭だけ幸せになるのが許せなかった。でも、それを優を縛る理由にしちゃいけなかった。


 今後、私なんかを好きになる人なんて現れるのかな?誰かを好きになっても、昭の時みたいに選ばれずに終わるかもしれない。一生ひとりかもしれない。考えるとこわい想像ばかりしてしまうけど、優とは、もうーー。


 心晴とバイバイし、自室で一人考えていると、優から電話がかかってきた。気持ちを見透かすようなタイミングに、ビクッと体が震える。

『明日ってバイトだよね?』

「うん、夕方までファミレスだよ」

『その後って、何か予定とかある?』

「ううん、何もないよ」

『じゃあ、バイト終わる頃迎えに行くよ』

 優とは、いつもこんな感じで会う約束をする。こうやって誘ってくるのは優ばかりで、私からは誘ったことなかった。

 無意識のうちに背筋が伸びる。今、言わないと!

「あのさ、優…!話があるんだけど」

『うん…?聞くよ』
< 19 / 165 >

この作品をシェア

pagetop