レンタル彼氏–恋策–
「優は優しいだろ?俺と違ってさ」
「うん、優しいよ」
昭だって優しかったのに、なんでそんなことを言うの?うちの親がケンカしてものすごく苦しかった時、眠いのを我慢してずっと抱きしめていてくれたくせに。
「にしても、ビックリしたわ。優から、ひなたと付き合うことにしたって言われた時は」
「……らしいね。それは優から聞いてるよ」
「アイツ、ひなたのこと本当に好きなんだな。俺との方が付き合い長いのに、縁切るって正面切って言われたし」
「そうらしいね……」
「正直まいったわ。優は一番の親友だったしさ。ま、悪いのは俺なんだけどな」
「そうだよ、もう。自分で分かってんじゃん」
何でもない風に笑いながら、心の中で涙が出た。
どうしてそんなことを私に話すんだろう…?気心知れた元カノだから?
昭の言葉に傷つく一方で、こうも思った。私の復讐は成功してるのかもしれない、と。優という親友を失ったことで、昭はダメージを受けてる。本当なら私への未練を感じてほしかったけど、もうこれ以上は狙わない。これでいい。
「優は、友情より恋愛だったんだろうね。そういう人、女子には多いけど。男では珍しいかもね」
励ましに見せかけた嫌味は、私なりの追撃。昭がどう受け取ったのかは分からないけど、私が受けたのと同等の痛みを味わえばいいと思った。