レンタル彼氏–恋策–

「信じなくてもいいけど、モテる男と付き合うのはそれなりに大変って覚えといた方がいいよ。なんせ、モテるイコール誘惑が多いってことなんだから」

「そ、それはそうかもしれないけど……」

 まずい。昭の言葉にのまれそう……。

「そろそろ、ひなた休憩終わり」

「う、うん。ホール戻る」

「あとちょっと、頑張れ」

「言われなくてもっ」

 好きでもないクセに復讐目的で優と付き合ったからバチが当たったんだ。ーー自業自得。そもそも、優の告白自体がウソだったのかもしれない。失恋したての女なら手を出しやすいと思って軽い気持ちで言い寄ってきたのかもしれない。それなら色々つじつまが合う。昭と優と三人で遊んでた頃、優に好意持たれてる感じ全くなかったし!

 どうしよう。なんか、恋愛したいとかそんなこと言ってられなくなってきた。男の人の全部がこわい。分からないことだからなおさら……。

 そんなことばかりが頭を巡り、残り2時間ちょっとのバイト中ミスを連発し、普段優しい店長や社員さんにも厳しく注意されてしまった。怒られている間も相手の注意は耳を素通りし、昭との会話が嫌な感じで頭を離れなかった。

 昭の方は、疲れた顔など見せずいつもみたいにスマートに仕事をこなし生き生きしていた。ミスばかりの私を余裕でフォローしてくる。理不尽だと思った。
< 26 / 165 >

この作品をシェア

pagetop