レンタル彼氏–恋策–

 この時、優の言葉が嫌な意味に聞こえた。

「本心隠すのが得意って、どういう意味?」

「ひなた……?」

 どうしよう。言葉が止まらない。

 私の異変に気付いた優は路肩に車を停止させ、こちらの顔を見つめた。

「……何かあったの?我慢しないで言って?」

「そうやって優しい顔して、何が目的?失恋してる私につけ込みやすかった?だから好きなフリして近付いてきたの?」

「落ち着いて?そんなこと思ってないよ」

「落ち着いてる、私は普通だよ…!」

「だったらどうしてそんなこと言うの?」

「だって、昭が言ってた!優が1年の子と遊んでるとか、モテるから体だけの関係の友達がいるかもみたいなこと…!私とはまだだから、他の人で欲求を満たしてるんじゃないの?なのにどうしてそうやってわざわざ優しくするの!?優くらいモテる人なら、別に私じゃなくてもよくない!?」

 しまった。これは言い過ぎだ!気付いた時には遅かった。

「変なこと言ってごめん……!今日は疲れてるしやっぱりもう帰ろうかな。バイトでもミスばっかしたし。ははは……」

 無理矢理出した笑い声がむなしく響く。優を不愉快にさせた、絶対に。これ以上ひどいことを言ってしまう前に、今日はもう帰ろう。
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