レンタル彼氏–恋策–
こっちの心を見透かすみたいな目をして、凜翔は視線を外さない。凜翔といるのは決して嫌じゃないのに変に緊張して、どうにか空気を変えようと勝手に口が動いてしまう。
「私にはもったいない人なんだよねー……」
その一言をキッカケに、私は全てを凜翔に話した。優との関係を終わらせるつもりなことや、今日、昭や優との間にあったことを。優と付き合うことにした邪(よこしま)な理由も隠さず話した。
その間凜翔は、まばたきも少なめに相槌を打ちながら話を聞いてくれていた。顔には出さないけど、内心ドン引きしてるだろうな……。
こんな優しい人に嫌われるのは悲しいけど、自業自得だ。凜翔にガツンと否定されたら、それこそ私には良薬になるかもしれない。
「……初めて会った時、凜翔は私のこと褒めてくれたけど、この通り、いいヤツではないんだ。自分でも最低な女だって自覚ある」
自己中だし、自分のためなら平気で優の好意を利用する。後で罪悪感持ったって許されることじゃないんだ。
「……ありがとう。話してくれて嬉しい」
凜翔は、心なしかさっきより柔らかい顔でそう言った。落ち着いた凜翔の反応を、すぐには信じられなかった。
「引いたならそう言って?気遣わずさ。そしたらもう、偶然こういうとこで会っても声かけないし」
「引いてないよ。だって、俺もひなたと同じだから」
「凜翔が?そうは見えないけど」
「好きな子に振り向いてもらうためなら計算するし、他者を悪者にすることも厭(いと)わないよ」
まさかの腹黒宣言…?凜翔が?