レンタル彼氏–恋策–
2度目の恋は大学生になってすぐ。ファミレスバイトを始めたのもその頃だった。好きになった相手はバイト先の海崎(かいさき)昭(あき)という同い年の男の子だった。
昭は、年下としか思えない軽いノリと年上っぽい包容力をあわせ持つ魅力的な人だった。見た目は好みそのものだったし、同い年なのに周りをまとめる昭のリーダー的なところもかっこいいなと思った。店長やお客さんから可愛がられているのもすごいと思った。
話すとチャラチャラしているのに、仕事中はそこそこ真面目でスマートに何でもこなすタイプだった。
昭とは同じシフトに入ることが多かったので、休憩中によく話した。口下手で人見知りな性格は接客バイトを通して少しずつ克服できたものの、かっこいい男の人と二人きりで話すのは緊張して仕方なかった。そんな私の気持ちを知ってか知らずか、昭は何度も気さくに話しかけてくれた。
仕事のミスもさりげなくフォローしてくれるし、それで落ち込むと優しく励ましてくれる。そんな昭に、私はいつしか惹かれていった。
雑談の中で、たまたま昭と同じ大学だということが分かった時すごく嬉しかったし、この出会いは運命かもと思った。
昭は誰に対してもフレンドリーな感じだったので、告白するのは諦めた。素敵な人にはもう彼女がいるに決まってると、頭から決めつけていた。高校生の頃の片想いがマイナスの形で尾を引いていたのかもしれない。
そのうち、バイト先で、昭と私が付き合っているというウワサが流れた。全然違うのに。だけど、周りから見て昭と私がそう見えることに、内心浮かれた。