レンタル彼氏–恋策–
男の子の全てを信じるのはこわい。昔はここまで男性に不信感なんかなかったはずなのに……。やっぱり、昭とあんな別れ方をしたのが原因なんだろうか。
優は右手で髪をかき混ぜ、もう片方の空いた手で私を強く抱き寄せた。最近やっと慣れたその腕の中、もどかしげな優の声を聞いた。
「悔しいな。すっごい妬ける……」
「え……」
「別れてもひなたに影響与え続けてる昭に、今ものすごく嫉妬してる」
「優……」
「ごめん、こんなこと言うなんて小さいよね」
「そんな…。私こそ、いつまでも昭の言うことに惑わされてダメだなって思う。もう忘れたつもりだったのに……。ごめんね、優」
謝り、優の胸をそっと押し返した。そして、優と付き合うことにした理由を隠さず白状した。
「……そういうことなの。優の優しさと好意につけ込んで、昭が苦しむことばかり考えてた。優しくされる資格ないんだよ」
「ひなた……。昭のこと、大好きなんだね」
「認めたくないけど、そうみたい」
苦笑が涙でにじみそうだった。
「だから、もう別れよ。今日はそのために会ったんだ。最初は昭への復讐心だったけど、最近は罪悪感で苦しい。バイバイは優のためでもあるけど、大半は自分のため。優は私なんかに巻き込まれていい人じゃない」