レンタル彼氏–恋策–

 勝手に他の子を好きになった昭のことなんて嫌いになりたいのに、優しいところがあったのも本当。優と付き合ってから、バイトで昭と顔を合わすのも平気になったけど、だからって心までは簡単に変わらないと知った。知ってしまった。

「今日昭が、優との友情失って悲しんでるの知って、ざまあみろって思った。そうなったのは私の力じゃないのに、優を利用したクセに、昭が苦しむの見て喜んでた。全部、自分のためだった」

 ここまで言えば、優は私を嫌うはず。罵倒されるのを覚悟で、優の答えを待った。

 深い深呼吸をし、優は言った。

「言いにくいこと話してくれてありがとう。でも、言われなくても分かってたよ。ひなたは俺のこと好きで付き合ってるわけじゃないって」

「え……?」

 意外な言葉だった。

「じゃあ、どうして何も言わなかったの?」

「俺のこと、昭を忘れるための道具にしてもらいたかったから」

「そんなっ……」

「これからも迷わず利用してよ。俺のこと」

「ダ、ダメだよ。そんなの残酷すぎる!私が優だったら絶対耐えられない…!」
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