レンタル彼氏–恋策–

「ごめん。俺ばっかり幸せな思いしてる。ひなたはずっと悩んでたのに」

 優は、そっと私を抱き寄せた。

「昭のこと、忘れなくていいよ。一度好きになった人を忘れるなんて無理なの当たり前だから。これからはこの関係を一緒に大切にしてこ?」

「そうだね……。分かったよ」

 こんなに想われて、悪事も許してもらって、他に言えることなんてなかった。

「本当に、私にはもったいない人だね。優は……」

「またそんなこと言う」

 抱きしめていた体をそっと離し、優は優しいキスをしてきた。付き合ってもうすぐ3ヶ月目。初めて優と交わしたキスは、視界に入る夜の川のように穏やかだった。


「お母さんに聞いたよ。昨日バイト中家に来てくれたんだって?ごめんね、話聞けなくて〜!大丈夫だった?」

 翌日、そう言い大学に顔を出してくれた心晴と学内のカフェに行き、昭や優との間にあったことをかいつまんで話した。

「優君、男だね!そんなこと、あたしも言われたいよぉ〜」

 心晴はうっとりした顔でベーグルサンドを頬張る。
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