レンタル彼氏–恋策–
優と再スタートを切った私のことを自分のことのように喜んでくれる心晴を前に、ためらいが大きくなる。
「でも、なんか、都合良く進みすぎじゃない?普通怒るとこだよね?優、優しいから、本当は我慢してるのかもしれない」
「そういう部分があったとしても、優君からしたらそれは我慢じゃなくて、幸せな恋のための努力なんじゃないかな?」
「そんなこと思いつかなかったよ。すごいね、心晴」
「いやぁ、照れるなぁ。あははっ」
時々、心晴の発言にハッとさせられる。彼女はすごい。明るくて優しいだけじゃなく、こういう時私の気持ちを切り替えるような言葉をスラッと口にしてくれる。魔法みたいに、心晴の言葉は私の心を明るくしてくれた。
「ありがとう。聞いてもらったら楽になった」
「よかった。なにせ、あたしもそうだからさ。優君のこと、他人事とは思えなくて」
「イサキさんのこと?」
「うん!」
イサキさんとは、心晴の彼氏のことだ。私はまだ会ったことがないけど、心晴はイサキさんとマメに会っている。バイト先のパチンコ屋で出会った社員さんだ。
「イサキさんと付き合ってそろそろ半年になるよね。年上の人だと色々甘えられそう!いいなぁ」
「そうなんだけど、イサキってけっこう甘えん坊なところあるんだよ。5歳差って、実はそんなに大きくないのかも」
イサキさんは23歳。二十代ってだけでものすごく大人に見えるけど、実際付き合ってみるとそうでない面がたくさんあると、心晴は言った。