レンタル彼氏–恋策–

「優君はイサキより大人かも。精神的に余裕あるっていうか、ひなたのことすごく大切にしてるのが分かるよ」

「それが分かるから、こういうことになって戸惑ってもいるよ……」

「だよね。別れるつもりだったひなたからしたら、ビックリな展開だよね!」

 うなだれる私の肩を、心晴は優しく叩いた。
 
「大丈夫だよ。最初から100%両想いってパターンの方が稀なんだから。優君のこと、じょじょに好きになっていけたらいいね」

「それまで優には寂しい思いさせるね。キスするまでも3ヶ月かかったし……。それ以上のことなんて、今はとても考えられなくて」

「分かる分かる!無理せずひなたのペースでいけばいいよ。優君はひなたのそばにいるだけで満たされてるんだし」

「そうかな?」

「そうだよ。ひなたに関するもの全てが、優君にとっては愛しいんだよ。分かるんだ。あたしもイサキを振り向かせるの楽しかったから。振り向いてもらえた時もすごく嬉しかった。つらくても諦めずに頑張ってよかったと思ったし、付き合ってからもすれ違いやケンカはあるけど、大切な人だから仲良くいられる努力をするのも嫌じゃないよ。全部好きでしてる。優君もきっと同じだよ」
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