レンタル彼氏–恋策–
「一緒に見ようよ」
「凜翔はもう買い物すんだんじゃ……」
「ひなたの服、選んであげる!」
言葉と同時に、凜翔は私の手をつかみベンチから立ち上がらせた。
「ちょ、待って!?そんなの悪いよ!一人で大丈夫だからっ」
「あ、そっか。彼氏怒らせちゃう?」
「それは大丈夫だけど、女の子の服見たって凜翔は退屈だと思うしっ」
「全然!そういうの好きだから」
ウソのなさそうな顔で、凜翔はそう言った。心から私との買い物を楽しみたい、そういう雰囲気。さすがだな。レンタル彼氏は女性との買い物もスマートにこなしそう。
「じゃあ、凜翔にお願いしよっかな」
「任せてっ!」
偶然の再会に驚いたものの、凜翔と会えてよかった。普段着ない色や系統の服を勧められた時は後悔したけど、それらの服は着てみると意外に合っていた。その上、普段の服より華やかに見える。
凜翔と会ったベンチに戻り、私達は並んで腰を下ろした。
「ここまで自分に合う服があるなんて思わなかった。凜翔の選んでくれたようなの、いつもは絶対選ばないからさ。さっき、あのまま帰らなくてホントによかった!」
「いい商品は早く売り切れちゃうから、早めに見とくのがいいと思って」