レンタル彼氏–恋策–

 痛みから逃げたい。楽になりたい。そんな心持ちで心晴にこのことを話すと、彼女は自分のことのように腹を立て、悲しみ、泣いてくれた。

「昭君ひどい!ひなたは何にも悪くないよ!」

「ありがとう、心晴」

 心晴の励ましは胸にしみた。あたたかかった。その名前の通り、心が晴れるような優しさを持った女の子だと思う。

 今回の失恋に関してはもちろん、他のことでも、今までずっとずっと心晴の存在に救われてきた。そのはずだった。

 大人になったせい?20歳を過ぎた今、友達の慰めだけでは埋まらない穴があることを、知った。

 相馬優に告白されたからだ。優は、昭や私と同じ大学に通う男子学生で、昭の親友だ。

「ひなたのこと、前から好きだった。俺は昭と違う。絶対ひなたのこと傷付けたりしない。大切にする」

「でも、私は昭のことまだ忘れてないし、私にそんなこと言ったら、優、昭と気まずくなるんじゃない?」

「ひなたを傷付けた昭なんて、もう親友だと思ってないから。それに、たとえ昭への友情があったとしても、ひなたを好きな気持ちはやめられなかったと思う」

 優の目には、今まで見たことのない強い気持ちが宿っていた。
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