レンタル彼氏–恋策–

「今のショッピングモールから近い、あの大学に行ってる」

「ホントに!?私もだよ!経済学部!同じ大学なんて、すごい偶然だね!凜翔は何学部?」

 凜翔とは、色んな偶然が重なる。不思議な縁だと思った。だからこそ私は嬉しくなり興奮してしまったけど、

「教育学部だよ。家から近いから選んだ、それだけ」

 凜翔の反応は、期待したものと違い冷めていた。

 運転に集中してるのかな?そうだよね、免許取ったばかりだろうし、まだ運転がこわいのかもしれない。少し黙ってよう。

 窓の外に目を向けていると、見慣れた街の景色はどんどん遠ざかり、初めて見る田園風景が広がり始めた。昼なら眺めがいいと言えるだろうが、夜なので暗闇に沈む静かな景色が少しこわい。

「これ、どこに向かってるの?」

「内緒。もうすぐ着くよ」

 それきり、凜翔はまた黙り込んだ。その横顔をチラリと見ると、そこまで運転に恐怖しているというわけではなさそうだ。むしろ、普段からよく車に乗っているのか、リラックスしているように見える。やっぱり何か話しかけた方がいいかな?

 口を開こうとしたその時、凜翔の方から話を振ってきた。

「ひなた、あの店しょっちゅう来てるんだと思ってた」

 さっきまでいたショッピングモールのことかな。
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