レンタル彼氏–恋策–
凜翔、頭いいんだな。ウチの大学は、経済学部より教育学部の方がだんぜん偏差値が高いと有名だ。
「先生に言われて進路選ぶって、簡単なようでけっこう難しいと思う。凜翔はすごいね。そういえば、大学も家から近いから選んだって言ってたね」
「……そういうことにしとく」
「え?違うの?」
「……ひなたのバカ」
「ええっ!バカは否定しないけど、凜翔にそういうこと言われるとショックだよっ」
「冗談だよ。ひなたのこといじめたくなって、つい」
「ひどいっ!昭と同じこと言うー!」
ハッとした。凜翔との会話に夢中だったはずなのに、自然と昭のことを口にしてしまった。
「優さんや昭さんのこと、解決したって顔してるね」
凜翔に言われ、私は小さくうなずいた。
「凜翔に色々聞いてもらった後、優と会って仲直りできた。昭の言ってた優のウワサも作り話だってハッキリしたの。昭のこと引きずってきたし、今もまだ好きなのかもしれないけど、優のことだけ見ていけるように頑張るつもり」
「そうなんだ。気持ちが楽になってよかったね」
「うん!凜翔のおかげだよ」
「俺?」
「好きな人のことすぐに忘れる必要ないって言ってくれたよね。その言葉ですごく楽になって、優とも向き合えた。本当にありがとう!」
凜翔への感謝。それは自分の素直な気持ちだと、この時は思ってた。