レンタル彼氏–恋策–
元々優しい人だったけど、付き合ってからの優はさらに優しくなった。
レディーファーストは当たり前。バイト先でのちょっとしたグチも嫌な顔をせず聞いてくれる。疲れている時はさりげなく私の好物を差し入れしてくれた。彼がモテる理由が分かった。
優のおかげで、バイト先で顔を合わせる昭とも普通に会話できるようになった。別れた直後は目も合わせられなかったのに。
昭との別れでボロボロだった私を、優が救ってくれた。日常生活を普通に送れるほどに。
そうして、昭との別れで傷付いた心が癒えてくると、今度は別の感情が湧いてきた。
罪悪感。
優の貴重な時間を奪ってしまっている。好きでもないのに付き合っている。恋人だからというだけで甘やかされ、優を昭への復讐の道具にしている。
優は、私の本心を知らない。
今日、大学のカフェに心晴を呼び出したのはそのためだった。優とこのまま付き合い続けていいのか別れるべきか、相談するために。
心晴はフリーターで、今は特にしたいこともないらしく自由に暮らしてるけど、毎日のように私の家や大学に顔を出してくれる。その気安さが嬉しかった。
「優とは、純粋に好きで付き合ったとかじゃないんだ……」
「そうだったんだ。優君と付き合って2ヶ月、今の関係に迷いが出てきたんだね。あの時はひなた昭君と別れたばかりだったし、仕方なかったと思う」
「心晴……」