レンタル彼氏–恋策–

「初恋が年上で、女の子と付き合ったことがない?あのスペックで?今でも充分完璧なクセに自分磨き?……絶対ウソだ」

「ひなたっ、気をたしかにっ!」

「はあ……。なんか、今すぐにでも魂が抜けそうな気分」

 なんだろう。言いようのない気持ちに疲れ脱力した。凜翔のプロフィールを見て彼のことが少しだけ分かった気がする。でも、見る前より分からなくなったのも本当。

 爽やかな微笑を浮かべる凜翔のプロフィール写真を見つめながらしばらくボンヤリしていた。そのせいで、心晴のささやきは耳に入って来なかった。

「凜翔君と幸せになれるといいね」


 凜翔のことばかり考えてしまうのに、それからも会えることはなかった。偶然は、そう何度も重なるものじゃないらしい。

 ショッピングモールや教育学部の学生しか使わない学内の施設、あるいはあのカフェに行けば偶然を装って凜翔に会えるのかもしれないけど、それだと本当のストーカーになってしまうので行かなかった。他の人をいそいそ探すのも優に対してやましいし……。

 それに、できることなら自然に会いたい。凜翔に会えば、こうして意味なく彼のことばかり頭を占める状態も治まる気がして。

 会えないまま半月が過ぎ、11月になった。凜翔との初デートから1ヶ月が経ちそうだった。

「ひなたのとこは何やるの?」

「……」

「ひなた?」

「ご、ごめんっ」

 しまった。優と学食へ昼食を摂りに来てたんだった!
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