レンタル彼氏–恋策–

 それからもハイペースで飲み続け、気持ちがだいぶ緩んでいた。お酒に強い杏奈も、さすがに驚き心配している。

「ひなた、今日はペース早いね。そんなに飲む方だった?」

「久しぶりだしね!今日はとことん飲むよ〜」

「何かあったの?」

「何か、あったっけ?あった!そう、あったのー!連絡先教えてくれない男の人の気持ちが分からないー!会ってる時は優しいのにぃ」

 開放的になり、凜翔のことを口にしてしまった。

「彼女いるクセに優しくしてくれたり、服選んでくれたりドライブ連れてってくれたり、わけわからーん!男、意味不明!」

「ちょ、ひなた、しっかり!」

「もっと、もっと酒〜!!」


 それからの記憶はない。

 気付くと、私は知らない部屋のベッドに寝かされていた。サイドボードの電気だけが灯された室内は薄暗かったけど、そこが男の人の部屋だというのは室内の家具や物で分かった。初めての場所にしては見覚えがあるような……。

「杏奈は……?」

 まだ酔っているらしく、頭の中はふわふわし、妙な心地よさは続いていた。

「目、覚めた?」

「優……!?」

「よかった。なかなか起きないから心配したよ。電気つけていい?」

「うん……」

 現実に引き戻され、私は上体を起こした。血の気が引いていく。
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