レンタル彼氏–恋策–
「優……」
「ひなた……。そんな顔されたら、もう我慢できない」
裸になった優にそっと服を脱がされ、時間をかけて全身を愛撫される。私の敏感なところを知ると、優は何度もそこに触れた。一秒ごとに互いの肌が熱くなるのが分かるのに、私の気持ちはどこか冷静で、優の視線が熱っぽく抱きたいと言っているのに気付いても、胸は高鳴らなかった。
私の心を見透かしたみたく、優は悲しげな笑みを浮かべると、あらわになった私の胸に毛布をかけた。
「……ここで終わりだよ」
「え?」
「体がつながったって心までは奪えない。分かってたのに……」
「優……」
「別れよう。ひなた」
未練の残る瞳で、優は苦笑した。
「ひなたの笑顔が好きだった。昭の隣で幸せそうにしてるひなたを見て可愛いなって……。ひなたのこと、前のように笑わせて幸せにしたかった。だけど、ひなたを幸せにできるのは俺じゃないと思う。ずっと前から気付いてたのに、気付かないフリしてただけなんだ」
うつむき、優はおもむろに何かを差し出した。それが何かに気付き、心臓が飛び出しそうになった。心晴がプリントアウトしてくれた、凜翔の写真付きプロフィール。
「さっきひなたを迎えに行った時、カバンから落ちたの拾って……。勝手に見てごめん……」
「違う!これは……」
「分かってるよ。ひなたは浮気なんてしない。俺が不甲斐なかっただけ」
「そんなことない!優はいっぱい尽くしてくれた…!感謝してもしきれない!」