レンタル彼氏–恋策–
優は人気者だから、根も葉もないウワサが流れるのも仕方ないのかも。でも、何度か遊んだことのある友達にまでそっけなくされる理由がそれだとしたら、悲しい。
あまり深く考えずにいられたのは、心晴のおかげだった。自分も引っ越しの準備やバイトで忙しいのに、今までみたく時間を見つけて大学に来てくれた。
「優君とは、あれきり会ってないの?」
「うん。講義も休んでるみたいで、全然顔も見ない」
優はきっと私に気を遣ってるんだと思う。別れても優しい優に、感謝と申し訳なさを感じた。
凜翔に紗希ちゃんという彼女がいることを、心晴には話さなかった。話したら、心晴はきっと優しい言葉で慰め前向きに励ましてくれる。そしたら私は今度こそ本当に凜翔を諦められなくなる、それが分かっていたから。
「大学祭が落ち着いたら新しい恋がしたいな」
「凜翔君のことは?いいの?優君が身を引いたのも、そのためだったんじゃないかな……」
「そうだね。でも、凜翔のこと分からなくなったのも本当だし……。もう、恋愛で振り回されたくないんだ」
次に付き合う人とは、ちゃんと付き合いたい。そう思った。優みたいに中途半端なことはしたくないし、昭の時みたく傷付きたくもない。
「あのさ、ひなた……!話したいことがあるんだけど」
切迫詰まった心晴の言葉を切るように、杏奈が声をかけてきた。この前のことはラインで謝ったけど、私は改めて彼女に謝った。
「この前はごめんね、迷惑かけた。これからは気をつけるからまた誘ってね」