愛され系男子のあざとい誘惑
高校2年のときだった。クラス委員もやっていた私は日課でいつもクラスには一番に着くようにしていた。そんなある日、クラスで人気者だった男の子がたまたま早朝に登校してきた。


授業のさぼりすぎで一週間早朝登校を命じられたからと一週間、勉強を教えてほしいと頼まれたんだ。


最初は話したこともない彼と二人っきりで教室で勉強を教えるなんて不安でたまらなかったけれど、話上手な彼にどんどんと引き込まれていき、3日を過ぎるころには、彼に会うのが楽しみで仕方ない自分がいた。


クラスのみんなが来るまでのほんの1時間が待ち遠しかった。


気が付くと彼のことばかり考えていて、あっという間に私は彼の事が好きになっていた。でも、彼は人気者。私は地味なクラス委員。少女漫画ならあり得たことも実際にはありえない。1週間が過ぎると彼とは話すこともなくなってしまった。


それだけじゃない。彼に、彼女ができてしまった。好きになったことを後悔することはなかったけれど、自分とは縁遠い人を好きになるなんて辛いだけだと自分に言いきかせるようにはなってしまった。


まだ、大丈夫。3日で彼を好きになったからと言ってあの人を好きになるとは限らない。今、好きな人も彼氏もいないから優しくされてドキドキした。ただそれだけ。


この思いがこれ以上深くならなければいい。もう自分に釣り合わない人を好きになって傷つくのはごめんだから。
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