愛され系男子のあざとい誘惑
「おはよう」

「おはようございます。なんだか顔色が悪いですけど、大丈夫ですか？」


6番の部屋を掃除していると、今日も藤澤さんは一番に来て声を掛けてくれた。でも、なんだか今日は顔色が悪い。体調が悪いのかな。

「昨日、ちょっと徹夜でさ、眠れなかったんだ」

「そうなんですか？！それは大変だったんですね。まだ誰も来られないでしょうし、私が起こすので仮眠してください」

徹夜だったのに、こんな朝早く出勤するなんて本当に忙しくて大変なんだ。仮眠と言ってもこの会社に仮眠室なんてないし、机にうつ伏せるくらいしか無理かもしれない。

でもそれでも気休めにしかならないけどあんな疲れた顔で仕事をするよりはマシじゃないかな。


「心配してくれるんだ、優しいね。じゃあさ、ここ、座って」


そう言って椅子を引き、戸惑う私をそこに座らせると「10分経ったら起こしてね」と私の膝の上に頭を乗せて隣の椅子に足を乗せて寝そべる藤澤さん。


「ふ、藤澤さん？！あ、あの、私、仕事が・・・」


「もう終わってるでしょ。それに優美ちゃんが仮眠してくださいって言ったからさ。おやすみ」
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