愛され系男子のあざとい誘惑
ゆっくりと藤澤さんが頭を起こしたので急いで椅子から立ち上がると足が痺れすぎて転んでしまった。恥ずかしい。こんなに恥ずかしいことばかりでもう藤澤さんの顔を見られない。


「優美ちゃん、可愛い。真っ赤だよ」

「し、失礼します！」


足が痺れていようが転ぼうがそんなこと今は関係ない。とりあえず早くここから立ち去る。それしかない。

這いずるようにしてその場を離れた。まさかこの部屋で藤澤さんが一人、こんなことを呟いていたなんて知りもせずに。


「可愛い。やっぱり次のターゲットは優美ちゃんかな」



「ちょっと、何それ。展開が早すぎてついていけないんだけど」


「もう、私は恥ずかしくて明日からLiglossに行けないよ」


休憩室に戻り、「おかえり」と言う京香にさっきの出来事を早口で伝えた。当然驚く京香。ああっ本当に明日から藤澤さんとどう顔を合わせていいのかわからない。


「ちょっと、本当に藤澤さん、優美のこと好きなんじゃないの？」


「そんなわけないよ。絶対にあれはからかってるとかそんなんに決まってる！」


「とりあえず隣で話すわよ」


そう京香が言うので着替えを済ませ、京香と隣のカフェに向かう。そして、お馴染みのアイスコーヒーを２つ注文していつもの場所に座った。
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