愛され系男子のあざとい誘惑
「とりあえず、連絡先でも聞きなさいよ」

「・・・うん。でも、藤澤さんはアッパーフロアで働くエリートで私はその会社のクリーンスタッフだし、やっぱり全然不釣り合いな気がする」

きっとエリートであれだけ素敵なんだから彼女がいないわけない。私のことをからかってるだけなんだ。それなのに、思い出すのは彼のことばかり。


「不釣り合いって誰が決めるの?くだらないわね。もし、藤澤さんがあんたをからかったりゲーム的感覚で近づいてきたなら、エリートのコマになったとでも思ってラッキーくらいに開き直りなさい。それくらいの気持ちで挑め!」


「エリートのコマって」


「いい男に遊ばれる女だと開き直れってことよ。アッパーフロアのエリートよ。一夜限りの関係になったとしてもお礼を言いたいくらいよ。わかったわね?ちゃんと連絡先を聞くのよ。それではぐらかされたら遊ばれてるってわかるんだし」


京香に強く念を押された。そんなこと言われても明日から顔を合わせることが恥ずかしいのに連絡先なんて聞けるはずがない。


でも、配置換えのことを考えるといつまでも彼に会えるわけでもないんだ。
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