愛され系男子のあざとい誘惑
翌朝、いつものように掃除に取り掛かる。今日はいつもより早く掃除を済ませようと頭の中で考えていた。

京香に言われたことや配置換えのことも考えたけれどやっぱり会うのは顔から火が出るくらい恥ずかしい。それなのに・・・


「おはよう、優美ちゃん」


私よりも藤澤さんのほうが先にLiglossに着いていた。気まずい。恥ずかしい。飛び出したい。


「優美ちゃん、きっと恥ずかしくて俺が来る前に掃除終わらせちゃいそうだったから、先回りしちゃった。あれ、その顔は図星だった?」


「・・・き、昨日は本当にすみませんでした!」


もう頭を下げる以外ない。フロスを持ったまま、藤澤さんに大きく頭を下げた。寸止めとは言え、キスをしようとしたのは事実。


もし藤澤さんが私の会社に訴えたら私はクビだ。それくらいのことをしたんだ、私は。


「・・・なんかそういうの好きじゃないな」


少し不服そうにそう言った藤澤さんは私の両肩をつかみ、私の体を起こすと、コツンと自分の額を私の額にぶつけた。


「優美ちゃんがしないなら、俺がするよ」
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