愛され系男子のあざとい誘惑
どうしよう。C'est la vie GARDENって有名イタリアンだよね。そんな敷居の高いお店に行ったことなんてない。


しかも今日なんて普段着だし、そんな格好で行ったら場違いすぎる。やっぱり断ろう。とりあえず掃除だけは済ませて、藤澤さんに断ろうと思った。


基本的に私から掃除を終えたからと藤澤さんに声をかけることはない。いつも彼が6番に来てくれて軽く話しをして、私は休憩室に戻る。でも、今日は6番に来てくれそうにない。


藤澤さんはどこにいるんだろう。早く断らなきゃ。一番広い何台もパソコンが置いてあるエリアにはいない。だとすると1番から5番の部屋にいるのかな。一部屋ずつノックするも返事がない。


「藤澤さん、どこにいるんだろう」


結局、探し回ったけれど藤澤さんを見つけることが出来なかった。ただ、私たちクリーンスタッフには一部屋だけ決して入ってはいけない場所があった。


そこに藤澤さんがいるなんて、そのときは思わなかった私は、休憩室で京香を捕まえて相談することにした。


午後2時、私はC'est la vie GARDENの店前で彼を待っていた。さすがに普段着のまま待つのは無理だからと京香が着ていた服を貸してもらった。カーキーの袖が広がったトップスに白のプリーツガウチョ。


いつも京香はそのまま出かけられる格好をしているから見習わなきゃいけない。明日のコーヒーを奢ることで交渉成立した。
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