愛され系男子のあざとい誘惑
「あれ?優美ちゃん。少し目がトローンとしてきたけれど大丈夫?」


「・・・はい。大丈夫です」


嘘、全然大丈夫じゃない。懸念していた通り、空きっ腹にカクテルはやばかった。今は何杯飲んだのかすらもわからない。とりあえずピンクレディとクローバークラブを飲んだのは覚えてる。

そのあとはまた彼の「飲んじゃう?」という小悪魔なささやきに「はい」と頷いた。次に出てきたのはコーヒー牛乳のような見た目で甘いカクテル。


それも美味しい、美味しいと言いながら飲んだ。軽く出されたカプレーゼなんかも食べながら飲んだけれど、もう酔いが回ってきていた。


「そんな姿、誰にも見せたくないな。もうそろそろやめておく?」


「まりゃまりゃ、のめますー」


「いいの?俺、今はバーテンダーだから手加減しないよ。もしかしたらめちゃくちゃ優美ちゃんを酔わせて、あわよくば連れて帰っちゃうかもしれないよ。それでもいい?」


「・・・そのいいかた、ずるいです。いいとしか言えない」


「じゃあ、最後の一杯。ビトウィーンザ、シーツ。意味はね・・・」



パッと目を開くと私は大きなベッドの上だった。ここはどこだろう?頭が痛い。


ゆっくりと体を起こすと赤茶色の可愛い二人がけのテーブルと椅子が見える。そのテーブルに一枚の紙が置いてあることに気づいた。


ベッドから降りて、その紙を手にする。読んだ瞬間、顔が真っ赤になった。昨日の夜の出来事が鮮明に蘇ったから。



『昨日はとても可愛かったよ、優美ちゃん』
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