愛され系男子のあざとい誘惑
昨日の夜はとにかく酔っていた。空きっ腹にアルコールの強いカクテル。そして緊張も相まって藤澤社長に最後の一杯と出されたビトウィーンザ、シーツを飲んだあたりからはめちゃくちゃだった。


いっそ記憶がなくなってしまったほうがどれだけ良かったか。私は飲んで酔っ払って醜態をおかしても、記憶がなくなるタイプではなかったみたい。


『この、カクテルもおいしいー!』


『ん?ビトウィーンザ、シーツ?でもこれかなり度数が高いんだよ。だから別名、レディキラーとも呼ばれてる。言ったよね、さっきこのカクテルの意味』


『カクテルの意味?あー!えっとベッドに入って?ですよね』


ビトウィーンザ、シーツ。別名レディキラーと呼ばれてるカクテルの意味は『ベッドに入って』はっきりと覚醒した今なら子どもでもないし、その意味も分かる。


だけど昨日はそんな頭が毛頭働くわけもなく、醜態を晒してしまった。思い出すだけで頭が痛くなる。


『そう。もう子どもじゃないんだし、意味分かるよね?まあその感じだと自分一人じゃ帰れなさそうだから、今日は朝まで俺と過ごそうか?」
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