愛され系男子のあざとい誘惑
「お連れ様よりいただいておりますので結構ですよ」


身支度を整え、荷物を持って部屋を出た。そして急いでフロントに向かい、チェックアウトをしようとするとフロントの人にそう言われてしまった。本当にいいのか不安にもなったけれど、とにかくイヤリングを探したい。


フロントの人に一応聞いてみたけれど落し物としては届いていなかった。少しガッカリしながらエレベーターに乗り込んだ。昨日の出来事の続きを思い出しながら。


『・・・どこに行くんですか?』


『どこだと思う?二人っきりになれる場所。それに言ったよね?ベッドに入ってって』


お姫様抱っこのまま連れてこられたのは、このビルの42階から51階にあるホテル。かなり高級なホテルでスイートルームは一泊200万円もするとか。


でもその日はスイートルームは満室だと言われ、社長は『また、今度ね』と私に耳打ちしてきた。

部屋を案内されて中に入ると、藤澤社長はそのまま私をベッドに寝かせて布団を掛けてくれた。今思えばバーからホテルまでお姫様抱っこをされ続けていたなんて恥ずかしすぎる。


時間が遅かったからそこまでたくさんの人に会う事はなかったのが幸いだった。
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