愛され系男子のあざとい誘惑
店内はチェーン店のコーヒーショップと作りはさほど変わらなかった。だからか思った以上に場違いだとは思わなかった。


アイスコーヒーを二つ注文し、女性はお腹が空いたとパンケーキも注文して私がお金を払う間も無く、サッと一枚のカードを出した。


「あ、あの・・・」


「私が誘ったんだし、気にしないで」


そう言われてしまい、お店の中で押し問答を繰り広げるのは失礼だと思い「ありがとうございます」とお礼を言った。


「自己紹介が遅れました。私、バーMoon Mirrorで総支配人を勤めてる藤澤舞(ふじさわまい)と申します。ヒロの姉です」


「あっ、改めて昨日は本当にすみませんでした」


窓際の席に向かい合わせで座ると女性は財布から一枚の名刺を取ると私に差し出した。総支配人と聞いて目が飛び出るかと思った。


あんな大きなバーの総支配人だなんて凄すぎて何を話せばいいのかわからない。とりあえず昨日の謝罪をすることしか思いつかず深々と頭を下げた。
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