愛され系男子のあざとい誘惑
あの日からもうすぐ一ヶ月になろうとしている。京香に結果報告をしたのも、Liglossの担当だった時間も今は懐かしく思える。


そして、あの日から藤澤社長に会うこともなく舞さんからも連絡はない。まるであの日々が夢だったと思わざるを得なかった。


でも二階のフロア掃除には慣れてきた。最初はフロア掃除なんて人の目につくし、苦手だった。企業担当は黒子に徹していればいいだけだったのにフロア掃除は嫌でも人の目についてしまう。

正直、それが嫌だった。


それでも最近は、掃除をしているとパンケーキ目当てであろう親子連れの子どもに「こんにちは」と声を掛けられたりすると嬉しい気持ちになったりしていたし、楽しくなってきていた少し前までは。

と言うのも今、私はある女性に見つからないようにするのに必死だった。


以前藤澤社長に誘ってもらったC'est la vie GARDENで声を掛けてきた二人組の女性の一人。社長に声を掛けた方の女性。


彼女はつい最近二階のコーヒーショップに現れるようになった。彼女の姿を先に見つけたのは掃除をしていた私。



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