愛され系男子のあざとい誘惑

「わぁ綺麗。久しぶりに外に出ました私」


「うん、俺も。外の空気を吸うのもたまには必要だね」


ヒロさんが連れて来てくれた場所は屋上にあるヘリポート。本当に外に出たのは久しぶりで風が冷たくなっていることにも全然気がつかなかった。

一台のヘリが止まっていてスタスタと進んでいくヒロさん。私が呆然と立ち止まっていると「夜の散歩にいこうよ」と手を引かれ、ヘリコプターに乗せられた。


「わ、私初めてヘリコプター乗りました」


「俺も。やっと俺もここまで来れたんだってちょっと感動してる」


ヘリコプターは上昇して一面の夜景の上を走る。飛行機ですら乗ったことのない私は本当に空を飛んでいるものに乗るのが初めてで若干の恐怖と感動でドキドキが止まらない。隣に座るヒロさんも興奮気味っぽい。


しばらく二人無言で夜景を見続けていた。ヒロさんはこういうのすごく慣れていると思っていたのにそうでもなさそうでちょっとだけ親近感を覚えた。


「俺さ、意外とベタなことが好きなんだよね。だから一番ベタなことしてもいい?ちょっと約束の期日までは早くてフライングなんだけど・・・優美ちゃんのことが好きです。俺と結婚してください」


向かい合わせになり、左手を取られスッと嵌められたキラキラのダイアモンドの指輪。夜景にも負けないくらいの輝きを放っていてとても眩しい。
< 75 / 77 >

この作品をシェア

pagetop