スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
違う、絶対に違う。遊びなわけがない。過去はどうであれ、亮平さんはそんな不誠実な人じゃない。

圭介の言葉に動揺はしたけれど、折れかけた心を真っ直ぐにする。ふたりの無遠慮な発言のおかげで、我に返れた気がした。

亮平さんがさっき誤魔化したことは、きちんと理由を聞いてみよう。萌さんのことをどう思っているのか、正直に話してもらう。

そう思ったら、私は亮平さんのところへ向かっていた。

だけどパーティー会場に戻ってみても、亮平さんたちの姿は見当たらない。辺りを見回していると、彼の親しい友人である大企業の社長が声をかけてきた。

パーティーの最初で紹介された、大手総合商社の社長、渡辺洸輝(わたなべ こうき)さんだ。

三十代前半のイケメン社長で、新婚さんでもある。一緒にいる奥様は、ニコニコしていて感じのいい人だった。

「もしかして、亮平を探してる?」

「は、はい。浅井さんといるはずなんですが……」

「亮平なら、裏玄関に行ったよ。さすがに、泥酔した萌ちゃんは目立つからな」

苦笑している渡辺社長にお礼を言うと、裏玄関へ急いだ。階段の裏に、そこへ繋がる廊下がある。

パーティーもお開きの様子をみせていて、帰る人や客室に泊まる人でロビーは賑やかだった。
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