スパダリ副社長の溺愛がとまりません！

「朝から雨か……」

今朝はあいにくの雨で、気分がどんよりする。髪は広がるし、靴は濡れて傷みが早くなるしで憂鬱だ。

しかも、今朝は亮平さんのいない朝で、より鬱々した気持ちに拍車をかけている。

「よし、行こう」

それでも今日は、久しぶりに貴也さんと仕事の打ち合わせがあるし、落ち込んでいる場合じゃない。

マンションを出たら気持ちを切り替えよう。自分をそう奮い立たせ、傘を開く。白い小さな水玉模様の傘をさして、駅までの道を歩いた。

雨だからか、道路は渋滞しているし、道行く人の足取りも重そうだ。

亮平さんは、一晩中仕事をしていて大丈夫だったのかな。今日はいつもより少し肌寒いし、体調を崩さなければいいけど……。

駅に着くと、改札の前の人だかりが見えて、イヤな予感がする。

恐る恐る近づくと、電光掲示板には『遅延』の文字が見えた。

「うそ。サイアク……」

どうやら雨で事故が発生し、大幅に遅れているらしい。プラットホームの人だかりを見る限り、電車が来ても乗れそうにない。