スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
どうして亮平さんがここへ⁉︎ 驚きと嬉しさが入り混じりながら、急いでドアを開ける。

スーツ姿の亮平さんは、口角を上げて微笑んでいるけれど、心なしか顔色が悪い。まともに休めないほどに、仕事が忙しかったのか……。

心配になり笑顔を浮かべられない私に、彼は指輪の箱を差し出した。

「忘れ物。指輪、ずっと外してたんだな」

「あっ、ごめんなさい……」

亮平さんから貰った指輪は、萌さんのことで心がモヤモヤしていて、素直にはめられないでいた。

きちんと気持ちを整理してからにしようと思い、チェストに収めたままにしておいたのが、どうやら気づかれたらしい。

「いいよ。無理やり着けてほしいわけじゃないから。それより実和子、今週の土曜日の夜なんだけど、予定ある?」

「予定ですか? 仕事があるので、特には……」

「そっか。忙しいんだな。八時頃なんだけど、時間を作ってもらうことはできないか?」

わざわざ忙しいなか、それもこんな夜中に私に会いに来てまで予定を聞いてくるなんて、よほど大事な用なのか……。

訳がわからないままだけど頷いた。

「分かりました。八時までには、仕事を終わらせますので……」
< 168 / 257 >

この作品をシェア

pagetop