スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「ありがとう……。実和子に話したいことがあるんだ。その時間しか余裕がなくて」

「そんなに毎日忙しいんですか? 顔色もあまり良くないですよ」

思わず彼の頬に触れると、いつもは温かさがあるのに冷たい。だけど、亮平さんは優しい笑顔を浮かべた。

「大丈夫だよ。実和子に会えたら元気が出た。それじゃあ、また土曜日に」

亮平さんは私の頭を優しく叩くと、「遅くにごめんな」と言って身を翻した。

私に会うために、わざわざ来てくれたの? 電話でもいいはずなのに……。

後ろ姿を見ていると、切なく苦しくなってくる。土曜日に、いったいなんの話があるんだろう。

私も萌さんの話ができるかな……。

「亮平さん! 体だけは気をつけて」

声をかけずにはいられなくて、思わず呼んでみた。すると、亮平さんは肩越しに振り向いて笑みをくれる。

「ありがとう、実和子。それから、本当にごめん」

「え?」

亮平さんはそれだけ言い残し、足早にマンションをあとにした。

本当にごめんって、どういうこと?
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