スパダリ副社長の溺愛がとまりません！

経済のドンと呼ばれる橘社長は、いったいどんな人なんだろう。

「ああ。それから、母にも。実和子とは、将来を真面目に考えているし、簡単に手放す気はないから」

「手放す気はない？」

「そうだよ。親父たちがすんなり賛成してくれるかは分からないけど、萌のときのように引くつもりはない」

亮平さんは私の体を離し、真剣な目で見下ろしている。私に萌さんの話をしたから、気を遣って、そんな風に言っている……？

「亮平さん、無理はしないでください。私は萌さんと違って、家柄も普通ですし、人より際立つなにかを持っているわけじゃありません。たとえ反対されたとしても、仕方ないかなって……」

そのときは、時間をかけて分かってもらうしかない。私には、その覚悟はあるけど、亮平さんはどうだろう。

ドキドキしながら彼の様子を見ていると、亮平さんはキッパリと言った。

「家柄なんて関係ない。実和子だってそうだろ？ 俺のステータスを好きになったわけじゃないだろ？」

「当たり前じゃないですか。私は、亮平さんが副社長だから好きになったわけじゃないです。亮平さんが亮平さんでいてくれるなら、一文無しでも構いません」