スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「よく寝てる……」

クスッと笑いながら、まじまじと亮平さんの寝顔を見つめていると、本当に顔立ちのキレイさが分かる。

まつ毛が長く、鼻筋は通っていて、肌もきめ細かい。唇は赤みがかっていて、顔色は少し良くなっているみたいだ。

「ゆっくり寝ててね、亮平さん」

彼の唇にそっとキスをして起き上がると、服を羽織りリビングへ向かう。

初めてここへ来たときに、たしか亮平さんが近くのパン屋でパンを買ってきてくれたっけ。

今朝も焼きたてパンを用意しておこうかな。きっと激務続きだった亮平さんは、朝ごはんだってゆっくり食べていなかったんだろうし。

「よし、決めた! 買いに行こう」

簡単にメイクをして支度をすると、バッグを手に取り玄関に向かおうとして足が止まる。

「……と、その前に」

今までは、萌さんのことがあって素直に着けられないままだった指輪。その指輪をバッグから取り出し、左手薬指にはめた。

「やっぱり、持ってきてて良かった」

これからは、指輪をずっと着けていよう。今なら素直にそう思える。

これには亮平さんの気持ちが込められているし、なにより身につけていると、彼が側にいる気がするからーー。
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