スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
パン屋は、亮平さんのマンションからすぐ近くにあり、徒歩三分圏内といったところだ。

店の名前を知らなかったけれど、人の多さですぐに分かった。それに、香ばしい匂いもしている。

小さな石造りの店舗は、若い女性でいっぱいで、小さなカゴに思い思いにパンを入れている。

店員さんも若い女性ばかりで、次々と焼きたてパンを出していた。

「おいしそう……」

定番のクロワッサンやフランスパンからクリーム系のパンに、フルーツの乗ったものまで、種類がたくさんあり迷う。

亮平さんが好きそうなパンを選びながら、一通り店舗を見てまわりレジに行くと、ひきたてコーヒーの文字が目についた。

これも買っていけば、朝ごはんとしては完成だな……。コーヒーをふたつ注文し、マンションへ戻ろうとしたところで、スマホの着信音が鳴った。

土曜の朝から誰だろうと不審に思いながらスマホを取り出すと、それは亮平さんからだった。

「もしもし、亮平さん?」

どうしたんだろう。なにかあったのかな。ドキドキしながら電話に出ると、スマホの向こうから亮平さんの硬い口調が聞こえた。

《実和子、お前今どこにいるんだよ》

「えっ?」
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