スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
これが私たちの想いです
亮平さんは少し離れて電話に出ている。なかなか思うように、ふたりの時間を過ごせないもんなんだな……。

私も明日は仕事だし、またすれ違いの日々が続くのか。でも、それでも気持ちはすれ違わないと、それだけは絶対に言える……。

「なに⁉︎ それは本当か? マズイな……」

なにか良くない内容なのか、亮平さんの口調が荒立っている。

「分かった。すぐに行く」

電話を終えた亮平さんは、強張った顔で私のところへ戻ってきた。

「ごめん、実和子。今から会社に行かないといけなくなった」

「いいんです。謝らないでください。私のことは気にしなくていいんで、早く行ってください」

亮平さんは「本当にごめん」と言って、急いでスーツに着替えると、飛び出すように出ていった。

なにがあったんだろう。心配だな……。ふとダイニングテーブルに目をやり、ほとんど手つかずのパンに切なさを感じる。

「せめて、亮平さんに食べてほしかったな……」
< 196 / 257 >

この作品をシェア

pagetop