スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
このパンは、私が今日一日かけて食べるとして、ご飯も食べずに出ていった亮平さんのほうが気がかりだ。

いくら激務といっても、なにか食べないと……。食べかけのパンを口に入れ、コーヒーを飲み干したときだった。

インターホンが鳴り、思わずカップを落としそうになった。

「こんなときに……。勝手に出てもいいのかな……」

普段は来客はなく、宅配はコンシェルジュが預かってくれる。

インターホンに応答することはないから、出てもいいのか迷ってしまった。

とりあえず、誰が来たのか確認しようとモニターを見ると、そこには萌さんいる。

驚きで応答できないままでいるけれど、俯き加減で立っている彼女を、このまま無視をすることに良心が痛んだ。

「はい……」

緊張気味に返事をすると、萌さんは少し驚いたように顔を上げた。

モニター越しなのに、まるで彼女に見つめられている気になる。

「広瀬さん? もしかして、亮平くんいないんですか?」

「そうです。亮平さんは、急な仕事で会社に行きました……」

亮平さんに会いに来たんだ……。なんの用なんだろう。

割り切ろうと頭では思っていても、やっぱり嫉妬の気持ちが湧いてくる。

「そう……。じゃあ、広瀬さんだけでも会えますか?」
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