スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
早々に支度を済ませた私たちは、亮平さんの車で両親の元へ向かった。ここから約一時間ほどの閑静な住宅街に、私の実家はある。

「キレイな家が並んでるんだな。北欧風が多い……」

亮平さんは車を運転しながら、感心したように言った。

「はい。ここは、まだ完成して数年の場所なんです。立地が気に入ったとかで、両親が家を購入して……」

「そうなのか。静かでいいな」

亮平さんは私の案内通りに車を進めていき、住宅街のなかでも奥にある実家の前で停まった。

「ここから、街が見下ろせるのか。景色のいい素敵な場所じゃないか」

「特に父が気に入ったみたいで」

苦笑いをする私は、家のチャイムを鳴らす。実家も北欧風のベージュが基調の建物で、玄関先は花の鉢植えが置かれていた。

ほどなくして母が、ドアを開けてくれたけれど、その顔は険しい。一瞬怯んだ私は、口ごもりながら言った。

「橘さんと、来ました……」

「初めまして。このたびは、ご心配をおかけして、申し訳ありません」

亮平さんが頭を下げると、母は淡々と応えた。

「どうぞ、中へ」
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