スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
私の母は、いわゆる“キャリアウーマン”で、大手化粧品メーカーで部長を務めている。

キレイで凛とした雰囲気の母は、とにかく厳しくて、今回のことをどう思っているのか不安だ……。

大きな掃き出し窓が自慢の開放感溢れるリビングに通されると、父がソファーに座っていた。

大手総合商社に勤める父は、海外を転々としていたけれど、母の仕事の都合で単身赴任ばかりだった。

そんな父は、定年を数年後に控え、今は本社で人事部長を務めている。

紳士的で穏やかな性格の父は、亮平さんを見ると立ち上がった。

「橘さん、このたびはご足労をありがとう」

「とんでもないです。大事な娘さんを危険な目に遭わせてしまい、大変申し訳ありませんでした」

頭を下げる彼に、母は冷たく言った。

「立ち話をされても迷惑ですから、座ってくださいます?」

「あ、すみません」

亮平さんは母に促され、父の向かいに座る。私は彼の隣に腰を下ろすと母を睨んだ。

さっきから、亮平さんに対する態度が、あまりにもヒドイと思う。トゲのある言い方が、とくに気になっていた。
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