スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「まったく、娘の男性を見る目のなさには、呆れ返っています」

母は父の隣に座った途端、そんなことを口にした。あまりに露骨な言葉に、呆気に取られる。

「橘さんがどのような立場の方かは、存じ上げています。ですが、あなたの肩書きだけで、交際を賛成することはできません」

「お母さん⁉︎」

思わず身を乗り出すと、亮平さんに制され、仕方なく座り直した。

「もちろん、分かっています。今度のことは、彼女の実名も晒されてしまい、本当に申し訳なかったと思います」

「ちょっと待ってよ。悪いのは圭介で、亮平さんじゃない!」

強い口調で反論したものの、母は表情ひとつ変えずため息をついた。

「小島くんね。記憶にはあるけど……」

圭介のことは、両親にも紹介していて、母とも数回会ったことがある。

あのときも、交際にはあまり好意的ではなかったけど、母はどんな人なら納得するのだろう。

「結果的には、実和子さんを僕のトラブルで巻き込みました。本当に、申し訳ありませんでした」

頭を下げる亮平さんに対して、なにも声をかけない母に、私はだんだん苛立ちを募らせた。
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