スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「橘さん、妻の気持ちも汲み取ってやってください。あんな素っ気ない言い方しかできませんが、娘を心底心配していたんですよ」

父は申し訳なさそうな笑みを浮かべて、亮平さんに言った。亮平さんは父に向き直ると、背筋をさらに伸ばした。

「はい、もちろんです」

父は満足そうに頷いて、今度は私に目を向ける。

「実和子、昨日は母さんは仕事を早退して、お前を探しに行くんだと、かなり取り乱していた。無事だと知らせが入って、泣き崩れていたよ」

「お母さんが……?」

そんなに私のことを心配していたの……? いつだって、冷静で凛としている母が……。

「橘さんとの交際には驚いていたが、こうやって来てくれて、誠実な方に見受けられた。母さんもきっと、分かってくれる」

父の言葉に、私は黙って頷いた。

「それでは、改めてご挨拶に伺います」

「待っていますよ、橘さん」

亮平さんに優しく背中を支えられ、私たちは実家をあとにした。
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