スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
高級ブランド店舗が立ち並ぶ通りの中央に出来たイルビブの店は、すでに報道陣が詰めかけている。

それが見えて、少し離れた場所で足が止まった。

「このなかを縫って入るのは、結構勇気がいるかも……」

圭介の事件以来、マスコミが苦手になっている。しばらくは、歩いていても突然、取材依頼を受けたりしたくらい。

週刊誌にも、圭介との交際内容が書かれたりして、誰が話題を売ったのかを考えて、人間不振に陥ったりもした……。

「実和子、俺と行こう」

不意に声をかけられ振り向くと、亮平さんが苦笑した顔で立っている。

「亮平さん⁉︎」

「だから、一緒に行こうって言ったのに。無理して、ひとりで頑張ろうとしなくていいんだ」

亮平さんはそう言って、私の腰に手を回す。

「裏から入れるから」

「あ、ありがとうございます……」

パーティーには、もちろん亮平さんも招待されていて、今朝までずっと一緒に行こうと言われていた。

それは、まだ圭介の事件が尾を引いていることを、分かってくれているから。
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