スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
だけど私は、あれから一カ月近く経つこともあり、乗り越えたかった。だから、彼の好意すら、受け入れなかったけど……。

「俺は、お前に無理をしてほしいわけじゃない。頑張る実和子が好きだけど、辛いことは辛いと言っていいんだから」

「はい……」

橘トラストホールディングスの融資拒否を巡るトラブルは、相手方の“逆恨み”という印象で収束した。

だけどそれは、亮平さんたちの権力がそうさせたんじゃない。

あの小さな家具メーカーの社長や、亮平さんたちに救われたという中小企業の社長たちの訴えが、世論に響いたからだ。

そんな橘トラストホールディングスも、それを受け継ぐ亮平さんも心底愛しく思う。

相変わらず仕事が忙しいなかでも、こうやって私を心配して支えてくれる……。

そんな彼の優しさが、痛いほどに伝わってきた。

「よお、亮平。それに、広瀬さん久しぶり」

裏口から入ると、すぐの部屋に貴也さんがいた。そこは休憩室になっていて、芸能人やスポーツ選手が顔を揃えている。
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