スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
追いかけてきた男性を完全に無視した副社長は、エレベーターに早々と乗り込んだ。

そしてふたりきりになると、副社長は私に苦笑いをしながら言った。

「広瀬さん、軽蔑したろ?」

車のなかで『嫌われるかもしれない』と言っていたのは、このことなのかとようやく分かる。

部長がいつか言っていた、副社長の仕事にシビアな面を見てしまったみたいだ。

だけどなぜだろう……。まるで嫌悪感を覚えないのはーー。

「ビックリはしましたけど、軽蔑なんてしませんよ」

たぶん、副社長が根っから冷たい人ではないと、分かっているからかもしれない。

小さなメーカーを、今でも気にかけて訪問する一面を知っているから……。

それに、今回は全面的に相手が悪い。完全に自分たちのミスなのに、あんなに開き直られたら、副社長でなくても腹がたつ。

「それなら安心した。それと、ごめん。勝手に商品をキャンセルして」

エレベーターが開き、ビルを出て駐車場へ向かう。申し訳なさそうにする副社長 に、私はゆっくり首を横に振った。

「気にしないでください。私も、同じことを言うつもりでした」
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