スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
プレオープンには、橘グループの関係者の方や、その家族たちが駆けつけている。

今夜はパーティーということもあり、スーツではなく、新調した薄いピンクのパーティードレスを着た。

部長もパーティーに呼ばれ、不動産の社長と談笑している。そして私はというと、店内を見回しながら歩いていた。

「スゴイ……。改めて見ると、かなり都会的に洗練された雰囲気……」

きっと、明日からのグランドオープンも、お客さんで賑わうこと間違いない。

それに、チラホラ漏れ聞くかぎり、インテリアの評判も良さそうだ。

満足しながら店内を歩いていると、不意に副社長に呼び止められた。

「広瀬さん」

「あ、橘副社長。このたびは、おめでとうございます」

振り向くと、いつもどおりスーツを品よく着こなしている副社長が立っている。

会えてホッとしたのは、絶対にもう一度、お礼が言いたかったから。

「ありがとう。店の評判はかなりいいみたいで、原田部長と広瀬さんには心から感謝をするよ」

「いえ。副社長や、橘不動産の社長が力を入れられていたからですよ。本当に、素敵な仕事に携われて嬉しかったです」

今日で、こうやって副社長と会うのも最後かと思うと寂しく感じる。

最初は、副社長にいい印象を持っていなかったけれど、今は違う。だからか、余計に寂しく思えていた。

「なあ、広瀬さん。良かったら、二階に上がらないか? VIPルームが使えるから」
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